男性育休取得率が高い企業ランキング

本記事の情報はすべて各社の有価証券報告書・公式サステナビリティサイト・厚生労働省のデータベース・公式募集要項から取得し、取得日時点の原文を確認しています。各数値の出典リンクを掲載しているので、応募前に必ず最新の公式情報をご確認ください。

男性の育児休業取得率は、当データベースが収集している法定公表データの中で、最も多くの企業が数値を公表している項目です。収録している802社のうち、308でこの数値を公式に確認できました。

ただし、この数字はそのまま順位として読める種類のものではありません。理由は3つあります。100%を超える数値が出ること、同じ会社が2つの違う数値を公表していること、そして取得率が高くても取得日数が短い場合があることです。

まずランキングを掲載し、そのあとでこの数字をどう読むべきかを整理します。

男性の育児休業取得率ランキング

DB自動生成 男性の育児休業取得率 上位20社(公表を確認できた全308社中) 802社のデータから自動集計

!算定期間のずれ(前年度に配偶者が出産した社員が当年度に取得した場合など)により、100%を超えることがあります。会社ごとに算定方法が異なるため、単純な優劣の比較には使えません。

順位企業取得率補足・出典
1 SCSK 156% 有価証券報告書の数値。同一期間についてサステナビリティ非財務情報ページでは男性育児休業取得率50.0%と公表しており、算定方法(育児目的休暇の扱い・分母の取り方)の違いによる差があ 出典
2 日本アイ・ビー・エム 142% 100%を超えるのは、前年度に配偶者が出産した社員が当年度に取得した場合等が分子に含まれる算出方法によるもの。 出典
3 協和キリン 129.4% 2025年度(提出会社)。ESGデータ集の育児休業取得者数は2025年男性110名・女性54名 出典
4 大成建設 118.5% 算定期間のずれ(前年度に配偶者が出産した社員が当年度に取得)により100%超。サステナビリティサイトの人財ページでは「男性育休取得率100%、平均取得日数22.5日」と記載 出典
5 王子ホールディングス 115.9% 2024年度・国内連結会社16社対象。前年度に子が生まれた従業員が当年度に取得した場合を含むため100%を超える。 出典
6 千葉銀行 115.3% 2024年度実績。前年度に子が生まれた行員が当年度に取得した場合を含むため100%を超える。採用サイトでは2023年度実績112.8%と記載。 出典
7 住友ゴム工業 115.3% 2024年は100%。育児目的休暇を含む。100%超は算定期間のずれによる。 出典
8 めぶきフィナンシャルグループ 114.4% 2024年度、常陽銀行・足利銀行2行合算。全体109.3%。100%を超えるのは前年度に配偶者が出産した対象者が当年度に取得したため。 出典
9 京王電鉄 114.3% 連結ベースは84.5%(2024年度)。前年度に配偶者が出産した従業員のうち当年度に取得した者を含むため100%を超える算定方式。 出典
10 五洋建設 112% 分母(当事業年度に配偶者が出産した男性労働者数)と分子(当事業年度に育児休業を取得した男性労働者数)の年度ずれにより100%を超える。 出典
11 学研ホールディングス 111.1% 算定方式上100%を超える。参考:㈱Gakken 100.0%、㈱学研ココファン 91.7%、㈱学研エデュケーショナル 50.0%。2030年目標は男性育児休業取得率85% 出典
12 タカラトミー 108.3% 2025年度実績、タカラトミー単体。前年度に子が生まれた社員が当年度に取得したケースを含むため100%を超える。ダイバーシティページには、年度内に取得できなかった社員も翌年度に取得 出典
13 日本電気硝子 108% 2025年度実績。前年度に生まれた子について当年度に取得した場合を含むため100%を超えている。 出典
14 大東建託 107.8% 分母(当年度に子が生まれた男性)と分子(当年度に取得した男性)の年度ずれにより100%を超える。 出典
15 三井住友建設 107.6% 分母(当事業年度に配偶者が出産した男性労働者数)と分子(当事業年度に育児休業を取得した男性労働者数)の年度ずれにより100%を超える。 出典
16 大和総研 107% 前年度以前の出生分の取得を含むため100%を超える。復職率は男性97%。 出典
17 大日本印刷 106.8% 2025年度の数値。平均取得日数35.4日(休日を除く)。2024年度は96.4%・平均27.6日。前年度に子が生まれた社員が当年度に取得した場合を含むため100%を超える。 出典
18 コーエーテクモホールディングス 105.9% 2025年度実績。前年度に子が生まれた社員が当年度に取得した場合等を含むため100%を超える。提出会社単体の第16期有価証券報告書での数値は100.0%(2024年度)。 出典
19 しまむら 105.6% 男性全社員対象。100%超は算定期間のずれによるもの。 出典
20 東邦瓦斯 105.1% 有価証券報告書記載値。算定基準の異なる67.1%(社会データ2025)も公表。 出典

この表はデータベースから自動生成しており、収録企業が増えるたびに順位も自動で更新されます。

なぜ100%を超えるのか

上位に100%を超える数値が並んでいます。これは誤記ではなく、算定方法によるものです。

育児・介護休業法にもとづく公表では、取得率は次のように計算されます。

分母と分子で、見ている出来事の年度がずれています。前年度に配偶者が出産した社員が、年度をまたいで当年度に育児休業を取得すると、その社員は分子にだけ計上されることになります。これが重なると、取得率は100%を超えます。

各社もこの点を明記しています。**日本アイ・ビー・エムは「100%を超えるのは、前年度に配偶者が出産した社員が当年度に取得した場合等が分子に含まれる算出方法によるもの」と説明しています(出典)。五洋建設は「分母(当事業年度に配偶者が出産した男性労働者数)と分子(当事業年度に育児休業を取得した男性労働者数)の年度ずれにより100%を超える」と記載(出典)、ユニ・チャーム**も同様の説明を有価証券報告書に載せています(出典)。

**タカラトミーは、年度内に取得できなかった社員も翌年度に取得予定であるため「取得率は実質100%」という説明をダイバーシティページで加えています(出典)。ヒューリック**は、2023年度が125.0%となった理由を同じく算定上の超過として説明しています(出典)。

つまり、115%の企業が100%の企業より育休を取りやすいとは言えません。100%を超えている企業は「対象者とほぼ同数以上が取得している」ことは分かりますが、超過分の大きさに意味はありません。

同じ会社が、違う数値を2つ公表していることがある

より注意が必要なのがこちらです。同一期間について、公表先ごとに数値が違うケースが実在します。

**SCSK**は、有価証券報告書での男性労働者の育児休業取得率が156.0%である一方、**同一期間についてサステナビリティ非財務情報ページでは50.0%**と公表しています。育児目的休暇の扱いや分母の取り方といった算定方法の違いによるものです。(出典)

東邦瓦斯も、有価証券報告書は育児目的休暇を含む「育児休業等取得率」として105.1%ですが、自社ESG社会データの純粋な育児休業取得率は2024年度67.1%(2023年度51.5%、2022年度29.4%)です。定義により数値が大きく異なります。(出典)

**大成建設は、有価証券報告書ベースが118.5%、サステナビリティサイトの人財ページでは「男性育休取得率100%、平均取得日数22.5日」と記載(出典)。九州電力**は有価証券報告書103.3%に対しサステナビリティサイトの公表値が105.1%(出典)、BIPROGYはサステナビリティ情報が2025年度66.0%、採用サイトのDE&Iページが2024年度61.9%と、集計範囲の違いで数値が分かれます(出典)。

**ファンケルの100.0%は、会社独自の育児休暇制度(配偶者出産・育児支援休暇)の取得を含む数値です(出典)。電源開発**の100%は「育児休業・育児目的休暇取得率」としての数値で、育児休業単独の取得率とは定義が異なる可能性があります(出典)。

同じ「100%」でも、何を分子に入れた100%なのかは会社ごとに違います。 数値を比べる前に、定義を確認する必要があります。

集計範囲も会社ごとに違う

単体なのか、グループ全体なのかも統一されていません。

京王電鉄の例が分かりやすいところで、同じ会社でも単体と連結で30ポイント近く差が出ます。応募先が単体なのかグループ全体なのかで、意味する内容は変わります。

取得率より、平均取得日数を見る

取得率は「取ったかどうか」の数字で、何日取ったかは含みません。同じ100%でも、1週間と3か月では実態がまったく違います。

平均取得日数まで公表している企業を、公式記載から拾うと次のようになります。

企業男性育休取得率平均取得日数出典
BIPROGY61.9%(2024年度・採用サイト)154日出典
西武ホールディングス85.2%(2025年3月期)105.4日出典
パソナグループ77.1%(グループ)86.1日出典
SCSK156.0%(有価証券報告書)86日出典
かんぽ生命保険100%78日出典
三菱マテリアル79.5%(2024年度)73日(取得者105名)出典
コニカミノルタ75.2%72.7日出典
小野薬品工業78.8%(2024年度・単体)58.9日出典
雪印メグミルク97.0%(2025年)51.8日出典
TOTO98.5%(2025年3月期)49.8日出典
伊藤忠テクノソリューションズ68.9%(2024年度)40.8日出典
大日本印刷106.8%(2025年度)35.4日(休日を除く)出典
アース製薬100%(2025年)約35日出典
不二製油グループ本社67.5%(2024年度)29日出典
大成建設100%(サステナビリティサイト)22.5日出典
JTB73.9%(2024年度)9.9日出典

取得率と取得日数は連動していません。 取得率が100%を超えるSCSKは平均86日、100%の大成建設は22.5日です。取得率の高低だけを見て「取りやすさ」を判断すると、実態を取り違えることになります。

なお、目標として日数を掲げている企業もあります。**中国電力は一般事業主行動計画で男性社員の育児休職取得率100%・平均取得期間60日以上を目標としています(出典)。参天製薬**はDE&I目標として80%以上・平均取得日数20日以上(2024年4月〜2026年3月)を設定(出典)。大日本印刷は2029年度に平均取得日数を伸ばす目標を公開しています。

数字は動いている

公表値の推移を見ると、この項目は年度ごとに大きく変わることが分かります。

TOTOは2022年3月期の57.9%から2025年3月期の98.5%へ(出典)。**シャープは2022年度95.6%、2023年度84.1%を経て直近103.0%(出典)。BIPROGYは2023年度49.5%、2024年度62.7%、2025年度66.0%と推移しています。東邦瓦斯の純粋な育児休業取得率は2022年度29.4%、2023年度51.5%、2024年度67.1%です。荏原製作所**は2024年12月期90.8%から2025年12月期100%になっています(出典)。

去年の数値と今年の数値は別物です。 応募時には、出典先で最新の公表値を確認してください。

この記事のまとめ

会社ごとに算定方法が異なるため、この数字を単純な優劣の比較に使うことはできません。 本記事の表は、公表されている数値をそのまま並べたものであり、企業の評価ではありません。

よくある質問

Q. 取得率が100%を超えている会社は、必ず育休が取れるということですか? A. 対象者とほぼ同数以上が取得していることは読み取れますが、100%を超えた分は算定期間のずれによるもので、取りやすさの度合いを表す数字ではありません。

Q. どの数字を見るのが一番よいですか? A. ひとつの数字で判断せず、取得率・平均取得日数・集計範囲(単体かグループか)・公表年度の4点をセットで確認することをおすすめします。この4点をすべて公表している企業は、本記事の調査範囲では多数派ではありません。

Q. 取得率を公表していない会社は取得実績がないのですか? A. そうとは限りません。当データベースは公式に公表されている数値だけを記録しているため、公表がない企業について実態を断定することはできません。

Q. この情報はいつ時点のものですか? A. 各社の有価証券報告書・公式サイト等で確認した数値をデータベースに記録し、本記事は2026年8月4日版をもとに執筆しています。公表値は毎年更新されるため、応募時は出典リンク先の最新情報をご確認ください。


運営情報: 福利厚生JPは、企業の公式公開情報のみを情報源とする福利厚生データベースです。本記事は編集部がデータベース(2026年8月4日版)をもとに執筆し、全出典を人手で確認しています。数値の誤りを見つけた場合は[お問い合わせ]よりご連絡ください。確認の上、迅速に修正します。

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