えるぼし・プラチナえるぼし認定企業の福利厚生

本記事の認定情報は厚生労働省が公表する認定企業一覧(Excel)を、企業の福利厚生情報は各社の公式採用ページ・公式サイト・有価証券報告書を情報源としています。認定は取り消される場合があるため、最新の状況は必ず出典先でご確認ください。

求人票に「えるぼし認定」のマークがついている会社を見て、それが自分の生活にとって何を意味するのか、正直よくわからないまま応募した——という声をよく聞きます。

そこで、厚生労働省が公表している認定企業の名簿と、当データベースの802社を突き合わせました。名簿に載っていることを確認できたのは**287社**です。そのうえで、認定企業と非認定企業で福利厚生に本当に差があるのかを、同じ物差しで比べています。

結論から書きます。制度の数はほとんど変わりません。差が出たのは男性育休の取得率でした。

この記事の調査方法

そもそも「えるぼし」とは何か

えるぼしは、女性活躍推進法にもとづいて厚生労働大臣が企業を認定する制度です。会社が自分で名乗るものではなく、申請して国が審査するものという点が、他の「働きやすさアピール」と決定的に違います。

審査されるのは次の5項目です。

  1. 採用 — 男女別の採用倍率などが一定の基準を満たしているか
  2. 継続就業 — 女性が辞めずに働き続けられているか
  3. 労働時間等の働き方 — 残業時間が基準内におさまっているか
  4. 管理職比率 — 女性管理職の割合が基準を満たしているか
  5. 多様なキャリアコース — 非正規から正社員への転換、再雇用などの実績があるか

このうちいくつ満たしたかで「1段階」「2段階」「3段階」が決まります。5項目すべてを満たすと3段階です。さらに、3段階の認定を受けたうえで、より高い基準をクリアし、女性活躍の状況を毎年公表している企業だけがプラチナえるぼしに進めます。

当データベースの収録企業では、内訳はこうなっています。

3段階が圧倒的多数です。裏を返すと、「えるぼし認定」とだけ書かれている求人票からは、それが1段階なのか3段階なのかはわかりません。段階まで確認する価値があります。

プラチナえるぼし認定企業

DB自動生成 プラチナえるぼし認定 9社(当DB収録企業のうち) 厚労省名簿 2026年6月30日時点
企業 認定 業種 男性育休
取得率
女性管理職
比率
掲載制度
独立行政法人日本貿易振興機構
プラチナえるぼし 2021年10月
えるぼし 3段階 2021年1月
官公庁・団体 14件
千葉銀行
プラチナえるぼし 2022年2月
えるぼし 3段階 2016年4月
銀行・証券・保険 115.3% 29.4% 16件
アフラック生命保険
プラチナえるぼし 2023年7月
えるぼし 3段階 2019年5月
銀行・証券・保険 24.9% 18件
アクシス
プラチナえるぼし 2024年1月
えるぼし 3段階 2021年12月
IT・インターネット 12件
ソニーグループ
プラチナえるぼし 2024年1月
えるぼし 3段階 2016年4月
電機・精密機器 6件
丸井グループ
プラチナえるぼし 2024年6月
えるぼし 3段階 2020年11月
小売・流通 100% 23.3% 13件
エス・エム・エス
プラチナえるぼし 2025年3月
えるぼし 3段階 2024年6月
IT・インターネット 64% 19.1% 18件
群馬銀行
プラチナえるぼし 2025年4月
えるぼし 3段階 2018年6月
銀行・証券・保険 101.8% 14件
りそな銀行
プラチナえるぼし 2026年2月
えるぼし 3段階 2016年5月
銀行・証券・保険 5件

認定の有無は厚生労働省の公表名簿(2026年6月30日時点)と社名の完全一致で突合したものです。 男性育休取得率・女性管理職比率は各社が女性活躍推進法・育児介護休業法にもとづき公表している値で、公表年度は企業ごとに異なります。「—」は公表を確認できなかったものです。

9社のうち4社が銀行・保険です。金融は女性の比率がもともと高く、かつ有価証券報告書での開示義務が重いため、この種の認定を取りにいく体制が整いやすい業種だと考えられます。

千葉銀行は男性育休取得率115.3%、女性管理職比率29.4%と、公表している2つの数値がいずれも当データベースの上位に入ります。丸井グループは男性育休100%、女性管理職23.3%、男女の賃金差異80.7%を公表しており、3つの数字をすべて出している数少ない企業のひとつです。

一方で、プラチナ認定を受けていてもこれらの数値を公表していない企業もあります(表の「—」)。認定は国が審査したという事実、公表値は会社が自ら出した情報で、別のものです。

えるぼし3段階の企業(収録制度数の多い順)

DB自動生成 えるぼし3段階の企業 上位20社(全184社中・収録制度数順) 厚労省名簿 2026年6月30日時点
企業 認定 業種 男性育休
取得率
女性管理職
比率
掲載制度
日本新薬
えるぼし 3段階 2024年3月
製薬・医療機器 76.2% 14.4% 29件
カルビー
えるぼし 3段階 2016年4月
食品・飲料 24件
大和総研
えるぼし 3段階 2025年2月
コンサル・シンクタンク 107% 14.7% 23件
三菱総合研究所
えるぼし 3段階 2016年8月
コンサル・シンクタンク 54.8% 22件
シグマクシス・ホールディングス
えるぼし 3段階 2018年3月
コンサル・シンクタンク 22件
イズミ
えるぼし 3段階 2017年9月
小売・流通 93% 12.6% 20件
奥村組
えるぼし 3段階 2021年3月
建設・住宅 100% 20件
東急コミュニティー
えるぼし 3段階 2016年11月
不動産 89.5% 12.6% 20件
CIJ
えるぼし 3段階 2016年9月
IT・インターネット 19件
レンゴー
えるぼし 3段階 2020年10月
素材・化学・鉄鋼 100% 6.5% 19件
住友ゴム工業
えるぼし 3段階 2020年11月
自動車・輸送機器 115.3% 5.9% 19件
アフラック生命保険
プラチナえるぼし 2023年7月
えるぼし 3段階 2019年5月
銀行・証券・保険 24.9% 18件
全日本空輸
えるぼし 3段階 2023年1月
鉄道・航空・運輸 18件
キユーピー
えるぼし 3段階 2025年8月
食品・飲料 102.4% 19.9% 18件
サノフィ
えるぼし 3段階 2017年2月
製薬・医療機器 18件
エス・エム・エス
プラチナえるぼし 2025年3月
えるぼし 3段階 2024年6月
IT・インターネット 64% 19.1% 18件
日立システムズ
えるぼし 3段階 2016年7月
IT・インターネット 99.4% 7.2% 17件
JFEシステムズ
えるぼし 3段階 2026年5月
IT・インターネット 94.7% 9.1% 17件
ミサワホーム
えるぼし 3段階 2024年1月
建設・住宅 100% 17件
千葉銀行
プラチナえるぼし 2022年2月
えるぼし 3段階 2016年4月
銀行・証券・保険 115.3% 29.4% 16件

認定の有無は厚生労働省の公表名簿(2026年6月30日時点)と社名の完全一致で突合したものです。 男性育休取得率・女性管理職比率は各社が女性活躍推進法・育児介護休業法にもとづき公表している値で、公表年度は企業ごとに異なります。「—」は公表を確認できなかったものです。

念のため書いておくと、この並び順は「えるぼしとして優れている順」ではありません。当データベースが公式情報から確認できた制度の件数が多い順です。制度の件数が多い会社は、単に情報公開に積極的なだけ、という可能性もあります。

認定企業と非認定企業を比べてみた

ここが本題です。同じ物差しで比べました。以下の集計値はデータベース2026年8月12日版(収録786社)にもとづく数字で、収録企業が増えると変わります。上の表と違い、ここだけは自動更新ではありません。

制度の数は、ほとんど変わらない

認定企業非認定企業
収録企業数287社499社
公式確認できた制度の平均件数9.8件9.5件

差はわずか0.3件。誤差の範囲です。えるぼし認定は「福利厚生の制度が多い会社」を選び出す仕組みではない、というのがこのデータの示すところです。

考えてみれば当然で、審査項目に「福利厚生が充実していること」は入っていません。審査されるのは採用倍率・継続就業・残業時間・管理職比率・キャリアコースであって、家賃補助の金額ではないからです。

男性育休の取得率には、はっきり差が出た

認定企業非認定企業
公表している企業数119社185社
平均取得率85.3%74.0%
中央値87.4%74.9%
80%以上の企業の割合62%(74社)45%(83社)

11ポイントの差です。制度の件数では差が出なかったのに、「実際に取られているか」では差が出ました

これは、えるぼしの審査項目に「継続就業」と「労働時間等の働き方」が入っていることと整合します。男性が育休を取れるかどうかは、制度の有無ではなく抜けた人の仕事を回せる体制があるかで決まります。残業時間の基準をクリアしている会社は、そもそも一人あたりの負荷に余裕がある、という説明が成り立ちます。

例えるなら、**制度は「棚に置いてある道具」、取得率は「実際にその道具が使われた回数」**です。道具をたくさん並べている会社と、道具が実際に使われている会社は別物で、えるぼし認定でわかるのは後者に近い、ということになります。

女性管理職比率・男女の賃金差異は、ほぼ同じだった

認定企業非認定企業
女性管理職比率(平均)14.7%14.7%
女性管理職比率(中央値)12.1%10.4%
男女の賃金差異(平均)71.5%71.0%

女性管理職比率は平均が完全に同じで、中央値でわずかに認定企業が上回る程度。男女の賃金差異にいたっては差がありません。

認定を持っているからといって、女性管理職が多いとは限らないというのは、意外に思われるかもしれません。理由のひとつは、えるぼしの管理職比率の基準が「業種平均以上」という相対的な基準であることです。女性管理職が少ない業種であれば、低い数値でも基準を満たせてしまいます。

数字を読むときの3つの注意点

1. 男性育休取得率が100%を超えることがある

表を見ると「115.3%」「156%」といった数値が出てきます。バグではありません。

厚生労働省の計算式では、**分母は「その年度に配偶者が出産した男性の数」、分子は「その年度に育休を取得した男性の数」**です。前の年度に子どもが生まれて、今年度になってから育休を取った人は分子だけに入ります。だから100%を超えます。

100%を超えている会社は、過去に取れていなかった人が、あとから取りはじめている会社だと読むのが実態に近いです。

2. 公表年度が会社ごとに違う

女性活躍推進法にもとづく公表は年1回ですが、各社の決算期がばらばらなので、同じ時点の数字を比べているわけではありません。1〜2年の幅があると考えてください。

3. 認定は取り消されることがある

えるぼし認定は永続ではありません。基準を満たさなくなった場合や、法令違反があった場合には取り消されます。本記事の名簿は2026-06-30時点のものです。応募前に厚生労働省のページで最新の状況を確認してください。

業種別に見た認定の割合

DB自動生成 業種別の認定企業数(収録10社以上の業種) 厚労省名簿 2026年6月30日時点
業種認定企業収録企業認定の割合
コンサル・シンクタンク 11社 18社 61%
商社 9社 15社 60%
電力・ガス・通信 18社 31社 58%
建設・住宅 19社 36社 53%
製薬・医療機器 18社 35社 51%
不動産 9社 19社 47%
電機・精密機器 19社 41社 46%
自動車・輸送機器 10社 23社 43%
マスコミ・出版・広告 10社 24社 42%
化粧品・日用品 6社 15社 40%
小売・流通 21社 53社 40%
銀行・証券・保険 18社 47社 38%
人材・教育 9社 25社 36%
素材・化学・鉄鋼 13社 40社 33%
IT・インターネット 44社 157社 28%
食品・飲料 9社 36社 25%
ホテル・旅行・ブライダル 4社 16社 25%
鉄道・航空・運輸 11社 45社 24%
医療・介護・福祉 4社 17社 24%
ゲーム・エンタメ 7社 30社 23%
機械・重工 5社 22社 23%
外食・フードサービス 4社 23社 17%

認定の有無は厚生労働省の公表名簿(2026年6月30日時点)と社名の完全一致で突合したものです。 男性育休取得率・女性管理職比率は各社が女性活躍推進法・育児介護休業法にもとづき公表している値で、公表年度は企業ごとに異なります。「—」は公表を確認できなかったものです。

コンサルティング、商社、電力・通信、建設、医薬・医療の認定率が高く出ています。建設が上位に入っているのは意外かもしれませんが、これはえるぼしの管理職比率基準が業種平均との相対評価であることが効いていると考えられます。女性が少ない業種ほど、基準となる業種平均も低いためです。

逆に言えば、業種をまたいで認定の有無だけを比べても、女性の働きやすさの絶対水準は比べられません。同じ業種のなかで比べるのが正しい使い方です。

結局、求人票の「えるぼし」はどう読めばいいのか

ここまでのデータから、実務的にはこう整理できます。

えるぼし認定が保証すること

えるぼし認定が保証しないこと

つまり、えるぼしは「働き方の実績」の指標であって、「待遇」の指標ではありません。家賃補助や食事補助の金額を知りたいなら、認定の有無ではなく制度そのものを見る必要があります。当データベースは、その金額を公式情報だけで集めています。

よくある質問

Q. えるぼしとくるみんは何が違うの? A. えるぼしは女性活躍推進法にもとづく認定(女性の採用・継続就業・管理職比率など)、くるみんは次世代育成支援対策推進法にもとづく認定(子育て支援の行動計画の達成)です。目的が違うので、両方持っている会社もあります。本記事はえるぼしのみを扱っています。

Q. うちの会社は認定されているのに、この記事に載っていません A. 社名の完全一致でのみ突合しているため、名簿の表記と当データベースの表記が1文字でも違うと拾えません。また、当データベースに収録されていない企業は対象外です。お気づきの点があればお問い合わせからご連絡ください。確認のうえ修正します。

Q. 段階(1〜3)はどこで確認できる? A. 厚生労働省の公表名簿に記載があります。本記事の各表にも段階を表示しています。求人票に段階が書かれていない場合は、面接で確認して差し支えありません。

Q. この情報はいつ時点のもの? A. 認定情報は厚生労働省の名簿2026-06-30時点、福利厚生情報は各社の公式ページで確認した最終確認日を企業ページごとに記載しています。


運営情報: 福利厚生JPは、企業の公式公開情報のみを情報源とする福利厚生データベースです。本記事は編集部がデータベースと厚生労働省の公表名簿をもとに執筆し、突合結果を人手で確認しています。当サイトは企業に独自の点数をつけることはしません。誤りを見つけた場合は[お問い合わせ]よりご連絡ください。

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