退職金・企業型DCの見方|求人票で分からない差

本記事の情報はすべて各社の公式採用ページ・公式サイトから取得し、取得日時点の原文を確認しています。各制度の出典リンクを掲載しているので、応募前に必ず最新の公式情報をご確認ください。

福利厚生の中で、もっとも金額の差が大きいのに、もっとも金額が公開されていないのが退職金と企業型確定拠出年金(DC)です。

当データベースに収録している802社のうち、退職金・企業年金・確定拠出年金のいずれかに公式に言及している企業は298社。ところが、円建ての金額まで公式に確認できた企業は9社しかありません

これは当サイトの調査が足りないという話ではありません。各社の公式採用ページを網羅的に確認した結果として、金額が書かれていないのです。この記事は、その少なさ自体を出発点にします。

金額が公式に確認できた企業

DB自動生成 退職金・企業型DC 上位9社(全9社中) 802社のデータから自動集計
順位企業金額(上限)制度・条件
1 エン・ジャパン 1500万円(一時金) 株式付与型退職金制度 例:勤続15年で1,500万円相当(株式)
2 GMOペパボ 5.5万円/月 確定拠出年金制度 拠出上限額(法定上限)
3 博報堂 3.9万円/月 企業型確定拠出年金 会社掛金39,000円/月。別途退職金制度あり
4 ニコン 3.04万円/月 確定拠出年金持分 新卒募集要項記載の月額
5 チームスピリット 1.5万円/月 企業型確定拠出年金(DC) 対象社員
6 システムインテグレータ 1万円/月 確定拠出年金
7 システムリサーチ 5,000円/月 確定拠出年金制度 amount_valueは固定拠出金部分。これに加え勤続年数・職能資格に基づく拠出金がある(金額非公開)。新卒募集要項にも「確定拠出年金制度(月5,000円の会社拠出あり)」と記載。
8 稲畑産業 1,000円/月 DC確定拠出年金制度 会社拠出額として月1,000円と記載。
9 システムディ 1,000円/月 企業型確定拠出年金 公式記載は「会社から1,000円/月額奨励金」。

退職金・企業型DCの全9社ランキングを見る →

298社のうち9社。この比率が、この分野の情報環境そのものです。

博報堂 — 企業型DCの会社掛金を月額39,000円と明記

総合広告会社。企業型確定拠出年金制度があり、会社掛金は月額39,000円とキャリア採用の募集要項に記載されています。あわせて別途の退職金制度があることも明記されています。(出典)

会社掛金を月額の数字で書いている企業は、当データベースの収録範囲ではきわめて少数です。同社は年間30,000円相当のカフェテリアプランも同じ募集要項で金額まで公開しており、待遇の書き方が一貫して具体的です。

ニコン — 給与とは別枠で月額30,400円の確定拠出年金持分

光学機器メーカー。給与とは別に確定拠出年金持分として月額30,400円を支給すると、2026年度新卒募集要項に明記されています。持株会・財形貯蓄制度・退職金制度も併設していると記載されています。(出典)

注目すべきは、この金額が新卒の募集要項に載っている点です。初任給と並べて確定拠出年金の持分額まで書く、という開示の仕方をしている企業はほとんどありません。年額に直すと364,800円で、初任給比較の際に見落とせない差になります。

エン・ジャパン — 退職金を自社株式で付与、勤続15年で1,500万円相当

人材サービス会社。一定条件を満たす社員に退職金として自社株式を付与する「株式付与型退職金制度」を設けており、公式には勤続15年で1,500万円相当という例が示されています。(出典)

金額の桁が他の2社と違うのは、月額の掛金ではなく受け取り総額の例示だからです。同じ「金額が公開されている」でも、月額掛金型と総額例示型は直接比べられません。ランキング表を見るときは、必ず単位と条件を確認してください。

「退職金制度あり」の一行は、実際には何通りもある

金額が非公開の企業でも、公式ページの表記をよく読むと、制度の骨格までは書かれていることがあります。当データベースに記録されている表記を並べると、少なくとも次のような違いがあります。

退職一時金と企業型DCの併用型。 ソニーグループは「退職一時金と企業型確定拠出年金」を提供すると明記しています。(出典)SCSKは「確定給付企業年金と確定拠出年金による退職金制度」と、二階建ての構造を公式に書いています。(出典)

確定給付年金と確定拠出年金の両方を持つ型。 いすゞ自動車は福利厚生ページに「財形貯蓄、持株会、確定拠出年金制度、確定給付金などにより資産形成も可能」と記載しています。(出典)

企業型DCのみを明示する型。 Cygamesは「会社が退職掛金の一部を負担する企業型確定拠出年金制度」と説明しています。(出典)

選択できる型。 荏原製作所は、企業型確定拠出年金を選択できる「選択型確定拠出年金制度」があると記載しています。(出典)

同じ「退職金制度あり」でも、一時金なのか年金なのか、確定給付なのか確定拠出なのか、選択制なのかは会社ごとに違います。求人票の一行からは、この違いは読み取れません。

金額以外にも、公開されている「差」はある

金額が出ていなくても、比較の材料になる記載はあります。

手数料を会社が負担するかどうか。 AGCは、確定拠出年金(DC)の運用・口座維持手数料を会社が負担すると公式に記載しています。あわせて財形貯蓄が550万円まで非課税である点も明記しています。(出典)手数料の負担者まで書いている企業はごく少数です。

受け取り方の設計。 ユニ・チャームは確定拠出型年金と企業年金(確定給付年金)、財形貯蓄制度を備え、企業年金について「60歳から終身まで受け取ることができます」と公式に記載しています。(出典)期間の定めではなく終身と書いている例です。

円ではなく率で公開している。 アドビは日本向け公式報酬ページで「退職金制度(RAP)および確定拠出型年金制度(アドビは**基本給の2%**を拠出する)」と明記しています。(出典)円建てではないため本記事のランキング表には出てきませんが、給与に連動する形で拠出率を公開しているという点で、開示の水準はかなり高い部類です。

福利厚生は結局のところ、会社が社員にどこまで説明する気があるかにも現れます。金額を書くか書かないかは、その一番わかりやすい指標です。

求人票では分からない差を、どう確かめるか

退職金・企業型DCは、オファー面談で聞かない限りほぼ分かりません。聞き方を具体的にすると回答も具体的になります。当データベースで実際に公開されている項目をそのまま質問に変換すると、次のようになります。

「退職金は一時金ですか、年金ですか、併用ですか」 — ソニーグループやSCSKが公開しているレベルの情報です。制度の骨格が分かります。

「企業型DCの会社掛金は月額いくらですか」 — 博報堂の39,000円、ニコンの30,400円が、公開されている数字の実例です。月額で答えが返ってくれば、そのまま年収換算に足せます。

「マッチング拠出はできますか」 — 掛金に自分で上乗せできるかどうかで、積み上がる額が変わります。

「DCの口座管理手数料は会社負担ですか」 — AGCが公開しているのがこの項目です。

「退職金の受給資格に必要な勤続年数は何年ですか」 — エン・ジャパンの制度が「一定の勤続条件を満たす社員」を対象としているように、勤続要件が付くことがあります。3年で転職する可能性があるなら、この一問が最も効きます。

よくある質問

Q. なぜ退職金の金額はここまで公開されないのですか? A. 理由は各社が公表していないため分かりません。当データベースが確認できるのは「公式ページに金額の記載があるかどうか」だけです。本記事では、記載がない企業について制度が手薄だという判断は一切していません。書かれていない、という事実だけを記録しています。

Q. 金額が非公開の会社は避けたほうがいいですか? A. そうとは限りません。298社の大半が非公開であり、非公開であること自体は他社と変わらない状態です。むしろ、面談で質問したときに月額や制度構造を即答できるかどうかのほうが、実務的な判断材料になります。

Q. この情報はいつ時点のものですか? A. 各社の公式ページで確認した情報をデータベースに記録し、本記事は2026年8月4日版をもとに執筆しています。制度は改定されることがあるため、応募時は出典リンク先の最新情報をご確認ください。


運営情報: 福利厚生JPは、企業の公式公開情報のみを情報源とする福利厚生データベースです。本記事は編集部がデータベース(2026年8月4日版)をもとに執筆し、全出典を人手で確認しています。制度内容の誤りを見つけた場合は[お問い合わせ]よりご連絡ください。確認の上、迅速に修正します。

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