サントリー vs キリン 福利厚生を公式情報だけで比較

本記事の情報はすべて各社の公式採用ページ・公式サイト・有価証券報告書から取得したものです。口コミサイトの数字は使っていません。最終確認日は両社とも2026年9月8日です。

飲料メーカーの2社を、公式に書かれていることだけで並べます。どちらが優れているかを決める記事ではありません。同じ項目に、どちらが数字を出しているかを見る記事です。

先に、比較の前提を2つ断っておきます。

  • 比べているのはどちらも持株会社です。サントリーホールディングス(従業員約41,600名・非上場)とキリンホールディングス(単体の従業員約1,100名)です。キリンの制度の多くは、キリンビールの生産部門の採用ページに書かれているものです。どの法人の制度かは、あとで詳しく書きます。
  • 「公式に記載なし」は「制度がない」という意味ではありません。公式ページに書かれていないだけ、という場合があります。この記事は「書いてあるかどうか」を並べているだけです。

16項目で並べる

  1. 初任給

    WIN

    301,000円/月(2026年4月実績)。修士了317,800円、ものづくり部門の高専卒246,000円

    公式採用ページに242,000円/月と293,000円の2つの記載(採用区分により異なる)

  2. 年次有給休暇(1年目)

    初年度13日。勤続に応じて最高24日。2023年の平均取得日数は16.7日

    WIN

    勤続5年未満16日、5年以上20日(キリンビール生産部門)

  3. 有給の積み立て

    公式に記載なし

    WIN

    失効する年次有給休暇を最大60日まで積み立て

  4. 年間休日

    121日

    WIN

    123日(キリンビール滋賀工場の求人票)

  5. 節目の休暇

    リフレッシュ休暇。勤続10年から5年ごとに付与。日数は公式に記載なし

    WIN

    ステップアップホリデー。30・40・50歳に2週間の有給休暇と支援金。支援金の額は記載なし

  6. 住まい

    借上社宅(会社都合の転勤時)と住宅手当。金額は公式に記載なし

    借上社宅か家賃補助かを選ぶ制度。金額は公式に記載なし

    引き分け ― 両社とも公式に記載あり(差を付ける数字の開示なし)

  7. 持株会・財形・年金

    従業員預金、企業型確定拠出年金(DCプラン)。持株会の奨励金率は記載なし

    キリングループ持株会(奨励金つき)、住宅財形、確定拠出年金。奨励金率は記載なし

    引き分け ― 両社とも公式に記載あり(差を付ける数字の開示なし)

  8. 育児休職

    WIN

    子が満3歳まで。取得開始から5日間を有給化(ウェルカム・ベビー・ケア・リーブ)

    育児休業制度あり。日数は公式に記載なし

  9. 育児休業の取得率

    WIN

    女性94.7%(2025年)。男性109.4%(有価証券報告書)

    男性100%(有価証券報告書)。女性は公式に記載なし

  10. ベビーシッター・家事支援

    WIN

    法人契約シッター1日1,700円補助。ホームヘルパー利用料の70%(1日上限15,000円・年50日)。保育園に入れないときのつなぎシッター最長7か月

    公式に記載なし

  11. 介護

    WIN

    介護休職は最長3年・休職中に月5万円の給付金。介護特別休暇は家族1人につき年5日

    介護休業制度あり。日数・給付は公式に記載なし

  12. 不妊治療・ライフイベントの休業

    WIN

    不妊治療のための休職 最長1年

    ワーク・ライフ・バランスサポート休業(配偶者の転勤・ボランティア・自己啓発・不妊治療)。期間は記載なし

  13. 働き方

    コアタイムを原則廃止したフレックス、10分単位のテレワーク、研究開発部門の裁量労働制

    フレックス、在宅勤務と在宅勤務手当(金額は記載なし)、遠隔地勤務、転勤回避措置、希望地復帰支援

    引き分け ― 両社とも公式に記載あり(差を付ける数字の開示なし)

  14. 学び・研修

    WIN

    1人あたり年間研修費用32.1万円(2025年実績)。サントリー大学、寺子屋・リベラルアーツ講座

    オンライン学習「Mirai Palette」、チャレンジサポート(資格取得等の費用支援)。金額は記載なし

  15. 退職金

    65歳定年、70歳までの再雇用。退職金の額は公式に記載なし

    WIN

    退職一時金のモデル額 約2,000万円(18歳入社・42年勤続の標準ケース、キリンビール生産部門)

  16. 平均年収(有価証券報告書)

    WIN

    1,176万円

    999万円

勝敗は「公式に記載があるか」「数字まで開示しているか」「同じ指標なら数字の比較」だけで機械的に付けています。 制度の中身への当サイトの主観的な採点ではありません。「記載なし」は制度が無いという意味ではなく、公式ページで確認できなかったという意味です。

サントリーが8勝5敗3分。ただし、勝敗の数より中身のほうが読みどころです。サントリーが取ったのは育児休職・シッター補助・介護休職の給付金・研修費用といった「暮らしの場面」に金額を出している項目で、キリンが取ったのは年間休日・有給の日数・積立休暇・節目の休暇・退職一時金といった「休みと勤続」に数字を出している項目でした。

福利厚生偏差値は僅差です。サントリーは69.7で全1,141社中166位、キリンは69.1で206位。食品・飲料62社の中では6位と10位です。

出典:サントリー 新卒採用/サントリー 人と文化(両立支援)/キリンホールディングス 採用サイト/キリンビール 生産部門 新卒採用

違い1:サントリーは「家の中」に、キリンは「休み」に数字を出している

いちばん性格が出ているのは、どの項目に数字を書いているかです。

サントリーが数字にしているのは、法人契約シッターの1日1,700円、ホームヘルパー利用料の70%補助(1日上限15,000円・年50日)、介護休職中の月5万円、キッズサポート休暇の年5日、1人あたり研修費用の32.1万円です。どれも子育てや介護で家の中が大変になったときに効く数字です。この分野の制度は、サントリーグループ共通と書かれています。

キリンが数字にしているのは、年間休日123日、有給の16日・20日、積立休暇の60日、ステップアップホリデーの2週間、退職一時金モデルの約2,000万円です。こちらは休みの日数と、長く勤めたときの数字です。

同じ「福利厚生が手厚い」でも、数字を置いている場所がまったく違います。

違い2:有給は、キリンが初年度から3日多い

サントリーは初年度13日で、勤続に応じて最高24日まで増えます。キリンは勤続5年未満で16日、5年以上で20日です。入社した年はキリンが3日多く、5年目以降も4日多い状態が続き、サントリーが最高の24日に達する年次でようやく逆転します。

積み立てにも差があります。キリンは失効する有給を最大60日まで貯められると明記していますが、サントリーの公式ページには積立の記載を確認できませんでした。

いっぽうサントリーは平均取得日数16.7日(2023年12月時点)という実績を出しています。キリンは有給休暇取得率65.3%を公表しています。付与日数と実際に取れている日数は別の話なので、両方を見るのがよさそうです。

違い3:キリンの数字の多くは、キリンビール生産部門のもの

ここは読み違えやすいので、はっきり書きます。

キリンの年間休日123日はキリンビール滋賀工場の製造オペレーターの求人票、有給の16日・20日と積立60日とステップアップホリデーはキリンビール生産部門の新卒採用ページ、退職一時金の約2,000万円も生産部門の採用サイトのモデルケース(18歳入社・42年勤続)です。キリンホールディングス単体の総合職に同じ数字が当てはまるかは、公式ページからは確認できません。

サントリーも、シッター補助や介護休職などは「サントリーグループ共通制度」と書かれていて、持株会社の社員だけの制度ではありません。年間休日121日と有給13日は新卒採用ページの記載です。

どちらも「持株会社の社員が受ける制度」と「グループの事業会社の制度」が混ざっている点は同じです。応募先の法人の募集要項で確認してください。

注意:退職一時金の2,000万円は「入社時にもらえる一時金」ではありません

キリンホールディングスのページには2026年9月14日まで「入社時などにもらえる一時金 2,000万円」と表示されていましたが、これは42年勤続した場合の退職一時金のモデル額です。当サイトの計算が「一時金」という言葉に反応して入社時の欄に入れていたもので、この記事の公開にあわせて退職金は年収換算の計算から外しました。実際の支給額は等級や勤続年数で変わります。

この比較でできていないこと

正直に書いておきます。

  • キリンの女性管理職比率と女性の育児休業取得率は、当サイトでまだ確認できていません。有価証券報告書に記載があるはずの項目なので、「公式に無い」という意味ではありません。サントリーは女性管理職比率14%、女性の育休取得率94.7%を確認済みです。
  • キリンの初任給は242,000円と293,000円の2つの記載があり、どの採用区分の数字かを公式ページで確認できていません。
  • サントリーの持株会の奨励金率、キリンの在宅勤務手当の金額は、どちらも公式ページに書かれていません。
  • えるぼし認定は、サントリーが3段階(2018年3月)。キリンは当サイトで未確認です。

確認できしだい、このページの数字も更新します。

どちらを選ぶかの目安

この記事の数字から言えることは、これだけです。

  • 子育てや介護と両立する予定ならサントリー。シッター1日1,700円、ホームヘルパー70%補助、介護休職中の月5万円と、場面ごとの金額が公式に出ています
  • 休みの日数で選ぶならキリン。年間休日123日、有給は初年度16日、積立は最大60日と、日数の数字がそろっています
  • 長く勤める前提ならキリン。30・40・50歳の節目に2週間の休暇と支援金、42年勤続で退職一時金モデル約2,000万円と、勤続の先を数字で示しています
  • 学びに投資してほしいならサントリー。1人あたり年間研修費用32.1万円という実績を公表しています

制度の一覧と出典リンクは、サントリーホールディングスのページとキリンホールディングスのページにまとめています。


この記事の勝敗のつけ方:制度の質を主観で採点することはしていません。①公式に記載がある方が、記載のない方に勝つ ②数字(金額・日数・率)まで書いてある方が、制度名だけの方に勝つ ③どちらも数字を出している場合は大きい方が勝つ、の3つだけで機械的に決めています。どちらも記載がある/どちらも金額がない場合は引き分けです。

調べ方と出典(公式採用ページ・公式サイト・公式プレスリリースのみ)

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福利厚生JP 編集部|各社の有価証券報告書・公式採用ページ・公式サステナビリティサイトだけを情報源にしています。金額や比率は、公式に書かれている数字だけを載せ、推測では埋めません。確認できなかった項目は空欄のままにしています。

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