業種で福利厚生の「型」は決まる 全業種マトリクス

本記事の情報はすべて各社の公式採用ページ・公式サイト・公式プレスリリースから取得しています。各制度の出典リンクは企業ページに掲載しています。

「福利厚生が手厚い会社に行きたい」という言葉は、実はかなり曖昧です。業種が違えば、手厚さの中身がまったく違うからです。

当データベースの1141社・31,273件を、業種×制度カテゴリで集計しました。すると、はっきりした「型」が浮かび上がりました。

  • 住宅手当・社宅: 自動車・輸送機器96%、素材・化学・鉄鋼95%、機械・重工94% / 一方でIT・インターネットは48%
  • 食事補助・社員食堂: 自動車・輸送機器67% / 一方で建設・住宅は3%(35社中1社)
  • 資産形成(持株会・財形など): コンサル・シンクタンク100% / 一方で自動車・輸送機器46%
  • 学習・資格支援: 医療・介護・福祉71% / 一方で自動車・輸送機器8%

同じ「福利厚生を頑張っている会社」でも、頑張っている場所が業種ごとに違う、ということです。

全マトリクス

DB自動生成 業種 × 制度カテゴリ 公式に確認できた企業の割合 1141社のデータから自動集計/収録14社以上の業種のみ

表は横にスクロールできます →

業種 住宅育児・家族通勤・在宅資産形成健康休暇食事学習・資格
コンサル・シンクタンク25社 521006488721001644
人材・教育32社 4710084637288950
不動産26社 88888185621001562
ホテル・旅行・ブライダル20社 90100606045953555
建設・住宅56社 969659715498248
製薬・医療機器47社 8598687968961747
自動車・輸送機器38社 8997636858924742
電機・精密機器72社 9096567251973839
機械・重工33社 9197616742944527
銀行・証券・保険102社 7191545644961536
商社24社 9688587958922163
小売・流通84社 6195577462891732
食品・飲料62社 9494586140952142
素材・化学・鉄鋼73社 9593535951932540
電力・ガス・通信34社 8594796544941535
化粧品・日用品17社 7694827688942429
その他16社 568850756394656
IT・インターネット186社 5487676653922557
マスコミ・出版・広告35社 4989496663913129
鉄道・航空・運輸54社 7291527061892841
ゲーム・エンタメ32社 5388666650914738
外食・フードサービス34社 7179655632825335
医療・介護・福祉22社 7782734550821464

数値は「その業種の収録企業のうち、そのカテゴリの制度を公式ページで確認できた企業の割合(%)」です。 制度があっても公式サイトに書かれていなければ数えていないため、低い=制度が無い、ではありません。 金額の大きさではなく「載っているかどうか」だけを見た数字である点にもご注意ください。

数字は「その業種の収録企業のうち、そのカテゴリの制度を公式ページで確認できた企業の割合」です。金額の大きさではなく、制度が載っているかどうかだけを見ています。

この記事の調査方法

  • 対象: 当データベース収録1141社(すべて公式情報+出典リンク付き)
  • 集計単位: 1社1カテゴリにつき1回。同じカテゴリの制度を5件持っていても1社と数えます(制度をこまかく分けて書く会社が有利にならないようにするため)
  • 除外: 法定公表データ(男女の賃金差異など)は制度ではないので集計対象外
  • 母数が小さいとブレが大きいため、収録14社未満の業種は表から除いています
  • 制度が「無い」のか「公式に書かれていない」のかは区別できません。低い数字=制度が無い、ではありません

読みどころ1: 住宅は「工場と転勤がある会社」に集中している

住宅関連(家賃補助・社宅・独身寮)の確認率を高い順に並べると、上位の顔ぶれがはっきりします。

DB自動生成 住宅の制度を公式に確認できた企業の割合(業種別) 1141社のデータから自動集計/収録14社以上の業種のみ
業種割合該当社数
建設・住宅 96% 54社/56社
商社 96% 23社/24社
素材・化学・鉄鋼 95% 69社/73社
食品・飲料 94% 58社/62社
機械・重工 91% 30社/33社
電機・精密機器 90% 65社/72社
ホテル・旅行・ブライダル 90% 18社/20社
自動車・輸送機器 89% 34社/38社
不動産 88% 23社/26社
電力・ガス・通信 85% 29社/34社
製薬・医療機器 85% 40社/47社
医療・介護・福祉 77% 17社/22社
化粧品・日用品 76% 13社/17社
鉄道・航空・運輸 72% 39社/54社
銀行・証券・保険 71% 72社/102社
外食・フードサービス 71% 24社/34社
小売・流通 61% 51社/84社
その他 56% 9社/16社
IT・インターネット 54% 101社/186社
ゲーム・エンタメ 53% 17社/32社
コンサル・シンクタンク 52% 13社/25社
マスコミ・出版・広告 49% 17社/35社
人材・教育 47% 15社/32社

数値は「その業種の収録企業のうち、そのカテゴリの制度を公式ページで確認できた企業の割合(%)」です。 制度があっても公式サイトに書かれていなければ数えていないため、低い=制度が無い、ではありません。 金額の大きさではなく「載っているかどうか」だけを見た数字である点にもご注意ください。

上位は自動車・輸送機器、素材・化学・鉄鋼、機械・重工、商社、電機・精密機器——工場や事業所が全国に散らばっていて、転勤や配属がある業種です。逆に下位に来るのは人材・教育(40%)、マスコミ・出版・広告(42%)、コンサル・シンクタンク(43%)、IT・インターネット(48%)といった、都市部のオフィス中心の業種です。

理由はシンプルで、住宅制度はもともと「会社の都合で住む場所が決まる人」のための仕組みとして発達したからです。工場勤務や転勤がある会社は、社宅や独身寮を持たないと人を配置できません。一方、勤務地が実質的に東京だけの会社には、その必然性がありません。

中学生にもわかるように言い換えると、「引っ越しを命じる会社は、引っ越しの面倒を見る義務が生まれる」ということです。住宅手当が手厚い会社を探すのは、裏返すと転勤の可能性がある会社を探すことに近い、という側面があります。

読みどころ2: 建設の食事補助3%という数字

いちばん極端だったのがここです。建設・住宅は35社中1社(3%)しか食事関連の制度が確認できませんでした。自動車・輸送機器(67%)とは20倍以上の差です。

これは建設業界がケチだから、ではありません。社員が毎日同じ場所に集まらない業種だからです。現場が全国に散っていて、しかも現場は数年で変わります。社員食堂を建てても翌年には人がいない。置き型社食を置く固定オフィスもない。制度として成立しにくいのです。

同じ理由で、建設は住宅(89%)と通勤・在宅(71%)が高いという形になっています。現場に人を送り込む業種なので、住まいと移動にお金を使っている。業種ごとの「型」は、その業種の働き方の物理的な条件から素直に決まっていることがよくわかります。

読みどころ3: 育児・家族はほぼ全業種で高い

育児・家族カテゴリを見ると、コンサル・シンクタンク100%、機械・重工100%、人材・教育96%、素材・化学・鉄鋼95%——低い業種でもマスコミ・出版・広告の63%で、他のカテゴリのような大きな落ち込みがありません。

これは、育児介護休業法や次世代育成支援対策推進法によって、制度の整備と公表がある程度まで法律で求められているためです。裏を返すと、育児制度が「ある」ことは、もはや差別化の材料になりません。差が出るのは中身のほう——たとえば法定を超える期間、社内保育所の有無、シッター補助の金額といった部分です。

そこまで見たい方は、育児・家族手当のランキング社内保育園がある企業のほうが実態に近い比較ができます。

読みどころ4: 学習・資格支援に出る、業種の本音

学習・資格支援の確認率は、医療・介護・福祉71%、ホテル・旅行・ブライダル63%、不動産58%、IT・インターネット50%と続き、自動車・輸送機器8%、化粧品・日用品7%が最下位でした。

上位に並ぶのは、業務に国家資格や免許が直結する業種です。医療・介護・福祉、宅地建物取引士が必要な不動産、情報処理技術者試験のあるIT。資格が取れないと業務が回らないので、会社が費用を出す動機がはっきりしています。

逆に自動車・輸送機器や化粧品・日用品のようなメーカーは、技能を社内のOJTと配属で育てる文化が強く、「資格の受験料を補助する」という形の制度になりにくい。制度が無いからといって育成をしていないわけではない、という点は公平に書いておきます。

読みどころ5: 資産形成でコンサルが100%になる理由

資産形成(持株会・財形貯蓄・確定拠出年金など)はコンサル・シンクタンク14社すべてで確認できました。人材・教育64%、IT・インターネット63%、素材・化学・鉄鋼63%と続きます。

コンサル・シンクタンクが100%になったのは、収録14社の多くが上場企業またはそのグループ会社であることが大きいと考えられます。持株会は上場していないと作れません。母数が14社と小さいので、この数字は業種の特徴というより収録企業の顔ぶれの反映である可能性が高く、そのつもりで読んでください。

注意: 業種をまたいで数字を比べても意味は薄い

ここまで書いておいて逆のことを言うようですが、「A業種は住宅95%、B業種は48%だからA業種のほうが福利厚生が手厚い」という読み方は間違いです

理由は3つあります。

  1. カテゴリの重みが業種ごとに違う。転勤がない会社に社宅があっても意味がありません
  2. 公式に書いているかどうかの差が混じっている。採用広報に力を入れている業種ほど数字が高く出ます
  3. 金額を見ていない。月5,000円の住宅手当も月10万円の家賃補助も、この表では同じ「1」です

3つ目が一番重いので、補足します。当データベースで住宅関連の制度を確認できた企業は多数ありますが、月額の金額まで公式に公開している企業は、業種別に比較できるほどの数がありません(IT・インターネットで23社、建設・住宅で8社、それ以外の業種はいずれも1桁台)。つまり業種別の「金額」ランキングは、今のデータでは作れません。作れないものを作らないのが、このサイトの方針です。

金額で比べたい場合は、業種をまたいだ住宅手当ランキングのように、金額が公式確定している企業だけを並べたページをご覧ください。

転職で業種を変えるときに、事前に見ておきたいこと

業種をまたぐ転職では、いま当たり前にあるものが、次の会社では存在しないということが起きます。マトリクスから読める、代表的な落とし穴を挙げます。

  • メーカー → IT・インターネット: 住宅(95%前後 → 48%)と食事(33% → 21%)が大きく下がります。年収が上がっても、社宅を出て自分で家賃を払うと手取りの感覚は変わります
  • IT・インターネット → 建設・住宅: 食事補助(21% → 3%)はほぼ無いものと考えたほうが実態に近いです。一方で住宅(48% → 89%)は上がります
  • どの業種 → 自動車・輸送機器: 学習・資格支援(8%)は期待しないほうが安全です。資格取得を自費で続けるつもりがあるかは、事前に考えておく価値があります
  • どの業種 → マスコミ・出版・広告: 通勤・在宅(46%)と育児(63%)が全業種で最も低い水準です

いずれも「その業種が悪い」という話ではなく、手当の形が違うだけです。年収の額面だけでなく、いま自分が受け取っている現物の支援がいくらぶんなのかを一度計算してから比べると、判断を間違えにくくなります。

よくある質問

Q. 割合が低い業種は、福利厚生が弱いということ? A. いいえ。この表は「公式ページに書かれているかどうか」だけを見ています。制度があっても採用ページに書いていない会社は数えられていません。また、その業種の働き方に必要のない制度は、そもそも作られません。

Q. 収録14社未満の業種はなぜ載っていないの? A. 母数が小さいと、1社増減しただけで割合が大きく動いてしまい、業種の傾向として読めなくなるためです。除外した業種のデータが無いわけではなく、企業一覧からは個別に見られます。

Q. 金額で業種を比べたい A. 現時点のデータでは作れません。金額まで公式に公開している企業が、業種別に比較できるほどの数に達していないためです。データが集まり次第、この記事に追記します。

Q. この情報はいつ時点のもの? A. 各社の公式ページで確認した情報をデータベースに記録しており、表は収録データから自動集計しているため、企業を追加するたびに更新されます。制度は改定されることがあるため、応募時は各企業ページの出典リンク先で最新の情報をご確認ください。


運営情報: 福利厚生JPは、企業の公式公開情報のみを情報源とする福利厚生データベースです。本記事の集計はデータベースから自動生成しており、当サイトが企業に独自の点数をつけることはありません。誤りを見つけた場合は[お問い合わせ]よりご連絡ください。確認の上、迅速に修正します。

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